泡と兎と首飾り
1 巻
あらすじ
1978年のデビュー以来、猫十字社は漫画のあらゆるジャンルに挑戦し、さまざまな表現の手法を編み出していった。 そして結実した作品は、とてつもなく優しく、大きく、悲しく、楽しく、猫十字社ならではの独創的な世界が繰り広げられていった。 「小さなお茶会」、「黒のもんもん組」、「幻獣の國」……長期にわたる連載作品だけをとっても、メルヘン、ギャグ、ファンタジーと多様であり、その間に書かれた作品の一つ一つも、それぞれが唯一無二の内容である。 この作品集はこのような多彩な顔を持つ猫十字社作品の軌跡を、短編作品を中心にて編み、垣間見ていく傑作集である。 「宝石の女」は爛熟した19世紀初頭のパリを舞台に、ノンフィクションに形を借りた耽美的な異色作。 「日々の泡」は日常から立ち現れるさまざまな思いを、幻想的なモチーフを使い、軽やかに描き感動的に昇華した珠玉作。 「ヴィーナスの椅子」はふと、自分に立ち返る時を迎えた女性の心に寄り添った恋のお話。 そして「獅子のいる里」、「水酔放浪記」は究極のファンタジー作品。 民間神話の伝承をヒントに、生と死の彼岸からの穏やかで限りない救いに、心地よく酔いしれる作品。 ここでは私たちの知っている時間は停止して、夢幻に満ちた世界が出現する。 各作品は多彩だか、そこに通底するものは、生きることの喜びと痛み。 この切実な思いが軽やかに、楽しく、切なく描き切られている。
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